2020年に2年連続2回目の馬主申請を決意したのだが、ほぼ同時に別の問題が持ち上がってしまった。
「実家をどうするのか問題」である。
よく言われることだが、家は誰も住まなくなると荒れはてる。それ以上に荒れるのが庭である。草。なぜ生えるのか。イネ科を撲滅したと思うとマメ科が繁茂し蔓を伸ばしてよけい厄介。草を刈ると日焼けする。だけじゃなく虫に刺される。謎の虫による大量の吸血痕。田舎生まれ田舎育ちで免疫充分だと思ってたのになぜこんなに痒いのか。なぜこんなに腫れるのか。ブヨ?あーかゆいかゆいかゆいかゆい。
家を建て替えてそこに住むか…。
基本的に焦っているわけである。コロナによる所得の減少は先が見えなかった。だって、病院に行って謎に偉そうに何か言うとお金もらえる仕事なのに、そもそも病院に入れなくなってしまったのだ。今揃っている給与明細と納税証明書で住宅ローンを通し馬主にならないと、次いつ可能になるかわからない。そのときは永遠にやってこないかもしれない。今どうにかするしかない。
というわけで家を建てるのと並行して馬主申請することにした。だがしかし、家を建てるのは本当に大変だった。そもそもこだわりが強すぎる。建売はおろか、一般的なハウスメーカーの規格品を集めた「注文住宅」では満足できなかった。1からやるしかなかった。基礎断熱の方法までこちらで決めた。耐震等級取れないかもしれないと言われたら自分で構造計算もした。もう虫には刺されたくなかった。虫が入ってこないように気密にもこだわってしまった。折からのウッドショック。毎月のように資材価格が上がっていった。建設会社の設計部に毎週通ったが半年経ってもまだ設計が固まらなかった。
しかも住宅ローンが通らない。何せ頭金ゼロのフルローンだ。厳密に言うと見栄を張って「頭金」の項目に「『1』万円」と入力していたのだけれど、担当者と会話すると当然のようにフルローンの底辺だという前提で話をされた。
千葉銀行はハナからまったくダメだった。けんもほろろとはこのことだ。「何をどうしようが貸せない」とのことだった。それに比べれば京葉銀行はまだマシだった。けど本当につらかった。
「なんでこんなに借金があるんですか…」
「性格が怠惰すぎて借金がないと働かないので…」
「なんでこんなにリボ払いが多いんですか」
「あとからリボにするとその月の返済が減るじゃないですか。それが楽しくて…」
「…。これとこれとこれは完済してください。そしたら検討できます」
「完済するお金があったら完済してるわけでそれはちょっと…」
「じゃあ厳しいですね」
「こんなにリボと割賦だらけなのにCICに$マークが並んでるその頑張りというか安定感というか飛びそうで飛んでない生きる力を評価してほしいんですが…」
無理だった。ってか、なんで建設会社の言うとおり銀行の事前審査出してるんだ。もう自分でやろう。貧乏人の味方公庫だ公庫。この超低金利はそう長く続かない。固定金利だ!フラット35を借りるぞ!いや待てよ。フラット35って総額の90%までしか借りられないんだった。残り10%も貸してくれるノンバンク見つけないとな…。
というわけで予約をしてアルヒに行った。謎にスーツを着た。スーツなんて着たの3年ぶりくらいだ。
「借金めちゃくちゃありますけど所得が結構あるので返済比率クリアできてるから大丈夫だと思います」
「おおお」
「機構は基本そこしか見ませんので。ただこのままだと社内の承認おりないので何に遣ったか教えてくれますか」
「は、はい…」
案外いけそうだ!明日からいろんな書類を集めなければならないぞ。そうだ!せっかくだから馬主の書類も一緒に集めよう!
いよいよ、いよいよ、本気で申請することになるのである。